異議申立ての制度について
交通事故によって後遺症が残った場合、後遺障害の等級が認定される可能性があります。
しかし、その認定結果に納得できないことも往々にして起こります。
その場合、異議申立を行うことを検討しましょう。
異議申立てをするにあたって
認定された等級が適切であるか否かを検討する必要があります。
当然、適切な等級であれば、無用な異議申立てを行う必要はありません。
検討の結果、不適切な等級であると考えられる場合には、異議申立てを行う必要があります。
もっとも、認定された等級が適切であるかどうかなんて、医療に詳しい方は別として、まずいないと思います。
しかし、後遺障害の等級認定制度の仕組みを考えると、適切な等級が認定されていない方は多いのではないかと思います。
相談に来られる被害者の方で、適切な等級が認定される方は、3割程度である印象を受けます。
もちろん、相談に来られる方は、何らかの不満がある方が大半ですので、低い割合になっているのだと思いますが、もし後遺障害の認定に何らかの疑問をお感じの場合には、その疑問は適切な疑問であることが多いのではないでようか?
適切な等級が認定されない原因は、後遺障害診断書の記載が不適切であることと必要な検査が実施されていないことの二つであることが大半です。
多くの医師が、後遺障害の認定制度を理解していないことから、このような事態が生じるのでしょう。
後遺障害診断書の記載のように、治らなくなったことの証明は、医師の本来の業務ではないことから、やむを得ないのかもしれません。
医師任せにしていても適切な後遺障害の等級は認定されませんので、注意してください。
異議申し立てのポイント1
異議申立を被害者請求で行うことを検討しましょう。
被害者請求とは、被害者自身が、自賠責保険に対して直接後遺障害の申請等を行うことを指します。
後遺障害の申請を相手方保険に任せていた方(事前認定とい言います)は、被害者請求を行うことを検討して下さい。
異議申立から被害者請求に切り替えることも可能です。
保険会社は、あなたに上位等級が認定されることを望んでいませんので、被害者請求で行った方が適切な結果が得られる可能性が高まると考えられます。
異議申し立てのポイント2
異議申立書に、不満だけを書いても、決して相手にされません。
目標の等級を設定し、目標の等級が認定されるためには、どのような診断や検査が必要かを検討することが必要です。
これは初回申請の際も変わりません。
初回の申請と異議申立で異なる点は、既に一度は認定を受けたという事実です。
これにより、等級認定理由が明確になります。
認定理由には、どうしてそのような等級になったのかが書かれると同時に、何が不足していて上位等級にならなかったのかということも、暗に示してくれているのです。
これを利用しない手はありません。
不足する医学的所見をそこから読み取り、さらに認定要件が他にないかを調査し、全てを満たす準備を行うのです。
与えられたヒントを活用することさえできたなら、異議申立は決して難しいものではないのです。
もっとも、初回の後遺障害の等級申請をする際に、相談に来られていれば適正な後遺障害の等級が認定されていたのではと感じることも少なくありません。
それ程多くの人が、適切な検査を受けることなく後遺障害の等級申請を行っているのが現状なのです。
もし、後遺障害の等級申請で、適切な等級が認定された場合、異議申立てを行う必要がなくなる分、早く解決します。
異議申立ての手続きには準備を含めると3か月程度かかることがありますので、無駄な3か月を過ごすことがなくなるのです。
誰でもわずらわしいことは、一日でも早く終わらせたいと思うでしょうから、3か月は貴重だと思います。
時間をムダにしない為の解決策として
相談に来て頂ければ、あなたの後遺障害診断書に傷病内容がに正しく反映されているかどうかの分析を致します。
正しく反映されていると判断すれば、そのまま等級申請をすることをお勧めします。
そうでなければ、どのような検査を行う必要があるなどを説明させて頂きます。
尚、遠方で来所が困難な方は、郵送で、画像と後遺障害診断書等を送って頂ければ、検討のうえ、お電話で検討結果をお知らせ致しますので、遠方の方もお気軽にお問い合わせ下さい。
過去に相談に来られた方でこういう被害者がおられました。
膝の怪我で後遺障害等級14級がすでに決まっていた女性の方で、示談金額の算出を相談しにこられた人がいました。
念の為、後遺障害診断書のコピーも持って来て頂いたのですが、その女性の傷病の内容が診断書に正しく反映されていないと言う事に気づきました。
そこで、賠償金額の話を進める前に、後遺障害等級の見直しこそが大切であることを説明しました。
そして、適切な検査を実施することにより等級が見直される可能性があることを説明しました。
ところが、この方は既に何度も異議申立を行っていた言ってきました。
一瞬おどろきましたが、異議申立の書面を拝見して納得がいきました。
いずれも、闇雲に不服を訴えただけの文章だったのです。
それでは現在の保険制度のもとでは、よい結果が得られないことを細かな点も含め説明し、質問には丁寧にお応えしました。
その結果、異議申立と、その準備に必要な検査所見の獲得を引き受けることになりました。
医師の所見が得られたところで、異議申立の実行に移りました。
医師の所見がどのようにして得られ、それらがどのようなことを意味するのかを文章にまとめ、MRIやレントゲン画像のひとつひとつに証拠説明書を書き添えて、異議申立の手続を実施しました。
後日、異議申立の結果目標とした12級が認定されました。
要した期間は、最初の相談から4ヶ月でした。
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