交通事故コラム

交通事故の場合、途中で病院を変えるリスクは?

2018.03.18

交通事故 転院のメリットとデメリット、リスクについて

  • 転院は可能か?
  • 転院に期待するメリットは?
  • 転院によるデメリットは?
  • デメリットのリスクは?

通院している病院や主治医に不安

通院している病院がいまひとつと感じたら早めの転院をお勧めします。
なぜなら、よくない病院に留まってもよい結果になることは殆どないからです。

病院はどこでも同じではありません。
病院の経営方針は病院ごとに異なりますし、設備も医師の専門性も様々です。
交通事故被害者を歓迎する病院もあれば、そうでない病院もあります。
歓迎する病院の中にも、患者のためを思って頑張るところもあれば、病院の利益優先のところもあります。
また、患者数の多い病院であれば一人当たりの診察時間が少なくなるのも気をつけなくてはいけません。
重症患者の多い病院においては、軽症患者は相対的に軽く扱われるのも知っておくべきでしょう。
さらに、交通事故被害者の患者は医師に嫌われやすいのも忘れてはなりません。

病院選択を誤ったと感じたら転院することをお勧めしますが、メリットとデメリットをわかった上で実行して下さい。
デメリットを被るリスクはゼロではありません。
十分な対策を取りましょう。

転院は可能か

転院はいつでも可能です。
しかし、相手方保険会社に転院したい旨を伝えると同時に、治療終了(症状固定)を促されることが多いのも事実です。
ケガの内容や治療経緯によっては正当なこともあれば、そうでないこともあります。
ここで被害者は迷うわけですが、それでも転院を実行し健康保険で通院を継続することは可能ですし、実際に多くの被害者がそのようにし、その結果、よい解決を迎えています。
保険会社の言う治療終了は、あくまでも保険会社から病院への直接支払を拒否するだけであって、治療そのものの終了を判断しているわけではありません。
治療終了の判断が可能はのは、医師だけです。保険会社がそれを行うと医師法違反です。

転院に期待するメリットについて

転院に期待するのは、「よい診断書」の入手でしょう。
よい診断書を書いてもらうことが転院の大きな目標の一つです。
もっとも、よい診断書がどのようなものか分からなければ、転院の意味が薄れます。
実は、今の病院の方がよい診断書ができあがるかも知れません。
それに気づかずに転院するのは不幸です。

では、よい診断書とは何でしょう。
交通事故の場合、よい診断書とは、客観性の高い診断書です。
医師の主観や経験にもとづく判断を極力減らした診断書です。

診断の前提として、検査結果を重視しなくてはなりません。
検査にも種類があり、客観性の高いものから低いものまで様々あるため、検査にも客観性を求めます。
つまり、客観性の高い検査結果に裏づけられた診断書がよい診断書ということになります。

今の病院で実現できそうであれば留まり、できそうになければ転院です。
なお、検査が重要といいましたが、だからといって設備の充実した大学病院や総合病院をおすすめしているわけではありません。

大きな病院にもデメリットがあり、それが交通事故解決を邪魔するおそれがあるためです。
これまでの経験上、もっとも効率よく治療・診断が受けられるのは、次の形です。
普段の診察は開業医にし、必要な検査のみを大学病院や地域の総合病院でうけ、その結果を開業医のもとに集約させとりまとめる。
そして、よい診断書にしあげてもらう、です。

検査をもとめて総合病院に転院しても、診断書を書いてくれなければ意味がありません。
あくまでもよい診断書を得ることが目的です。
手段として検査を受けるのですから、主従が逆転しないよう気をつけて下さい。

転院のデメリットやリスクについて

リスクを減らすために、まずは交通事故ならではの転院のリスクを確認してみましょう。

交通事故被害者にとって不利な診断の積み重ね

転院後にかかった医師も、転院前と同様に交通事故被害者にとって良くない医師であったとしましょう。
すると、転院後も、不利な記録がカルテに残ります。
交通事故被害者にとって不利な記録が複数の医師によって残されることになります。

それを保険会社が喜ばないはずはありません。
保険会社にとって有利な活用をされてしまいます。

つまり、「事故と症状の間に相当な因果関係がない」と言われたり、痛みを「詐病」と言われたり、「心因性のものなので事故ではなく本人の問題」などと言われたりします。
被害者にとって不利な状況です。

「複数の医師によって軽傷と診断されている」と言われる可能性

これは交通事故被害者にとって非常に不利な状況です。
「複数の医師によって軽傷と診断されている」という状況。
では、そのような状況に陥る可能性は高いのでしょうか?

医師の間では、交通事故患者は一般的に嫌われていることを思い出して下さい。
医師の多くは、交通事故被害者にとって不利な診断をする傾向があります。

医師の名誉のために補足しますが、あくまでも医学的に妥当な範囲での診断です。
決して誤診ではありません。
解釈に幅のある診断について、交通事故被害者の不利な診断が下され易いという意味です。

それを裏づける医師の証言を複数耳にしたことがあります。
「交通事故患者を敬遠する医師は半分くらいはいるけど、残りの半分は協力的だよ。」とおっしゃった権威ある大学病院の先生がいます。
その時の状況から、「半分は大丈夫だから安心してね」、という意味だったのですが、同時に半分は駄目ということです。
半分の確率で、不利な医師に当たるということです。
しかも、この半分という言葉を疑わなければなりません。

整形外科医の半数は交通事故患者であろうとなかろうと分け隔て無く対応してくれるのかも知れません。
しかし、交通事故患者に実際に対応するのは、総合病院であれば若手の医師です。
大きな病院になればなるほど、初診を対応する医師はほぼ例外なく若手です。
では、若手医師の場合にも、半分は交通事故患者に対して悪い印象を持っていないと言えるのでしょうか?
残念ながら、それはなさそうです。
若手の医師の場合には、半数も協力的な医師はいないと思われます。
「交通事故患者を診察するときは、常に裁判沙汰に巻き込まれるのではないかと不安になる。」と言った30代半ばの整形外科医がいます。
同世代の別な医師は、「(医師仲間の中で)いつもだれかは裁判中」と教えてくれました。
さらに、「交通事故患者は書類や保険会社の対応に手間取り、しかも、先輩医師からは交通事故の書類を押しつけられるので大変。」といった医師もいます。
交通事故の裁判は、医療過誤ほどおそれる必要もないのですが、単に「裁判」という言葉に若手医師らは萎縮しています。
また、交通事故は雑務が大変という印象もあるようです。
若手の医師にあたった場合には半数以上の確率で、ベテランでも半数が、交通事故患者を敬遠するということを知っておく必要があります。
交通事故被害者にとって非常に不利である「複数の医師によって軽傷と診断されている」という状況は、滅多に起こらない、大丈夫、と思っていてはいけません。

ストレスを感じる診察によるデメリット

複数の医師にかかることで、不利な診断を積み重ねるリスクが高まるという話しをしましたが、デメリットはそれだけではありません。
不利な診断をする医師にかかっているとストレスも高まります。
ストレスは治療効率の低下を招くと言われています。

治るはずの痛みが長引くようでは何のために治療に通っているのか分かりません。
また、言いたいことの半分も言えずに診察室を出てしまうという話しをよく耳にしますが、そのような雰囲気の悪い診察室で診断書を依頼するのは一苦労です。
頼み辛い上に、被害者の立場にたった診断書も期待できません。
交通事故被害者にとって、治療と補償は両方とも大事なことです。
雰囲気のよくない診察室では、治療も補償も、両方とも失敗する可能性が高まります。

事前の調査でリスクを減らす

さて、ここまでは転院に伴うリスクやデメリットを説明してきましたが、転院先の医師がどのような診療方針をもっているかを知ることが交通事故被害者にとって安心です。それによりリスクは回避できます。

ここでもう一つ、よくない転院例

私の経験上、数千万円もの補償を失った交通事故被害者がいます。
4箇所の病院を渡り歩いた後に、当事務所に相談にこられ、協力医にかかっていただきました。

協力医のもとでは、徹底的に検査と治療を受けていただき、これ以上のものはないだろうというくらいまで理想的な診断書ができあがったのですが、
それまでにかかった医師の一人が、全くやる気のない(非協力的)な書面を書いたため、後遺障害の一部について因果関係が否定されたのでした。
その否定されたことが決定打となり、等級認定は下がり、結果として数千万円もの賠償金を逃すこととなりました。

他の3名プラス協力医は肯定していたのにです。
同じ症状、同じ後遺障害であっても、このように失敗することもあるわけです。
計画性のないドクターショッピングはお勧めできません。

まだまだあります転院のリスク

転院先の医師が、協力的でよい先生という評判であったとしても、実は、診断書を求めた途端に態度を変える場合があります。
しばらく通院していたことが無駄になるというケースです。
しかも、その時点では時間が経過しているため、元の病院に戻りづらくなっています。

非協力的な病院に我慢して通い続けると

交通事故被害者の立場にたって親身に診てくれない病院に我慢してかかり続けるのもよくありません。
公平で客観的な診察をしてくれなければ保険会社にとって有利な状況が生まれますし、何より我慢は精神的にもよくありません。
いわゆる病院による二次被害の犠牲になります。

主治医の説得は可能か?

ここで主治医の説得についてふれておきます。

主治医を説得し、協力的にさせることは可能かも知れません。
しかし、私の経験上、十分と思えるレベルでの説得は、ほぼ不可能です。
たとえば、検査の実施を医師が承諾しも、検査結果の評価段階でやる気のない判断をされる可能性があります。
あるいは、意図的な意地悪も考えられます。不本意な検査を強いられたと被害妄想に陥る医師の言動は少なからず見受けられます。医師は一般的にプライドが高いため、第三者の介入による不満を持ちやすい人たちです。

顔では笑っていても内心では怒っている

そのような可能性が高いわけです。
そんなわだかまりを残す可能性が多分にある以上、医師の説得には慎重でなければなりません。
後々の状況を悪くしない準備が必要です。

近年増加傾向のリスク

さらに、近年増加傾向にあることですが、医療現場から法律専門家全般に対して向けられる目が厳しくなってきています。
法律家であれば無理難題は言わないだろう、という関係が以前はあったのですが、それが崩壊しています。
2010年頃から見られる傾向です。
親しくしているある医療関係者から、配慮のない法律専門家が増えてきた、と言われたことがあります。
その時の状況は、
後遺障害の立証のためと言うと検査が受けたい

しかし、証明のための検査と言うと断られる

治療のために必要と思わせなければいけない

そこで、痛くなくても医師の前では痛いと言う

検査を受ける

このようなことは、医療機関かれみればすぐに嘘だと分かりますが、かといって嘘を指摘するのはためらうものです。騙された振りをして検査に応じました。
ところが、そのようなことが他の患者でも何度も続きました。
そこで患者を問い詰めたところ、ある専門家の名前が挙がりました。法律専門家によって仕組まれていたわけです。
法律専門家が背後に隠れながら、交通事故被害者を唆し、病院に対して嘘をつかせていたわけです。
そうした傾向が2010年頃に多発し、それ以来、法律専門家に向けられる医師や医療機関の目は厳しくなりました。
そのため、医師面談の成功確率も下がりました。
医師面談は以前にも増して慎重に検討する傾向が強まっています。
従って、主治医の説得確率は下がっています。

医師を説得しようとすることのリスク

法律専門家による医師面談が裏目にでることもあります。
医師が逆上し、関係がこじれるケースです。
そうなると、その後、交通事故被害者が何事もなかったかのように普通に通院することは難しくなります。
たとえ法律専門家でも、初対面の医師に対して、本心から協力を引き出すのは、まず不可能だと思って下さい。
表面的な協力なら引き出すことが出来たとしても、何かしらの警戒感や、わだかまりを残すものです。
それが小さければまだよいのですが、大きければ厄介です。
その大小は後になって判明しますが、大きかった場合、もう手遅れです。
交通事故被害者が最後に手にする示談金として、数百万円から数千万円の減額となって現れます。
また、関係がこじれても、その病院に通わなければならない場合、その通院は大変憂鬱なものになるというデメリットもあります。
主治医の説得に専門家を活用しても構いませんが、一か八かであることは十分に覚悟しておかなければなりません。
少なくとも、私は、交通事故被害者から医師面談の依頼があったとしても、積極的にはお引き受けしないようにしています。
一か八かの挑戦は、やめておくことをお勧めします。

転院のリスク伴わずに転院する方法

上記2大リスクを払拭すれば大丈夫。
上記2大リスクとは、

  • 不利な診断を積み重ねるリスクと、
  • 転院後に手のひらを返されるリスク

です。
これらを完全に解消できれば大丈夫です。

しかし、これが難しい場合には、転院には慎重になった方よいでしょう。
その際は当法律事務所の病院紹介を含めた業務をご検討ください。

大阪で交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

当事務所では、交通事故で起こるケガに対応した専門分野の医師と連携しています。
病院選びで不公平な補償を受けることがなくなるようにするのが当事務所のテーマです。

示談交渉等は弁護士が行いますので、正当な補償を受けることが可能となります。

目指すところは、補償と治療の両立です。
しっかり治し、しっかり補償を受ける。
他の被害者と比較して不公平な補償にならない。
そのために、医師と弁護士が、連携して対応にあたります。
もし、今かかっている病院では公平な補償にならない、保険会社の示談金が適切でないと感じたら、一度当事務所にご相談下さい。

なお、大阪市鶴見区、城東区、旭区、都島区、門真市、守口市、大東市、東大阪市など大阪周辺で交通事故に遭われた方につきましては、交通事故の被害者を多く治療されている整形外科医の紹介が可能となりましたので、事故後早期にご相談ください。
転院など考えることなく安心して治療に専念できます。

06-6995-4861

お問い合わせ