交通事故コラム

交通事故の示談とは

2018.03.18

頭の中で示談の際のことイメージする

頭の中で示談書に判子を押すシーンをイメージしてみてください。
保険会社の担当者が「ここに署名捺印を。」と指差した状況でハンコを押すことになります。
良くも悪くも、これで終わりです。
示談の際に後悔しないために以下のことに注意してください。

それまでの頑張りが報われるのか、無駄に終わるか

交通事故解決は、判子を押した示談書に書かれた内容で決まります。
決まりますというよりも、決まったことになる、というのが正確な言い方かも知れません。
それまでの経緯や言動がどうであれ、示談書に書かれた内容がすべてです。
ハンコを押した以上は、もうそれ以上、お互いに何も言えなくなります。

「毎月もらっていた休業損害が、実は慰謝料の前借りだった。」

毎月、保険会社から休業損害として支払われていたものが、実は入通院慰謝料を前借りしていただけだった、ということが実際に起こっています。
被害者にとって驚きと落胆の瞬間です。

当然ながら、保険会社は分かってしていることです。
不利な証拠はどこにも残していないはずです。
被害者の一方的な勘違い、という形にされているはずです。
示談書に判子を押すことはお互いに効力が及ぶものですが、内容が常に平等になるとは限りません。

「あの頑張りは一体何だったの?」と思うこと

実は慰謝料の前借りだった、ということになることを知っていれば、そのために頑張った交渉や駆け引きは必要はなかったかも知れません。

確かに、わかっていても頑張るという方はおられますし、それはその方の個性なので尊重はします。
しかし、あまりそういう人は多くいらっしゃらないと思います。
あなたが保険会社にかけた電話は無駄なことだったかも知れません。
明日、主治医にお願いしようとしている診断書は、無駄なことかも知れません。
昨日の頑張りはどうだったでしょう?

取り越し苦労の無駄で終わるだけならまだいい方で

間違った頑張りでしっぺ返しをくらうこともままあります。

例えば、正しいことを言ったつもりが保険会社からは過剰な要求と受け取られ、弁護士対応にされ、益々嫌な思いをさせられる、といったことが起こります。
また、弁護士対応にされること自体はまだいいのですが、された原因を抜本的に理解し解消しておかないと、さらに不利な状況へと自分を導くことになります。
取り越し苦労に労力を費やすのは、「無駄な頑張りだった。」と笑って済ますこともできますが、しっぺ返しをくらうことは避けたいものです。
まして、示談書にしっぺ返しが隠されるのは避けたいものです。

今のままで大丈夫?

ここまでは無駄な頑張りについて説明しましたが、ここからは、何もしないことが不利な示談の原因になり得る、というお話です。

事故直後

過失割合でもめるかも知れないときは、事故現場で証人確保に努めましょう。
後日になって探しても、そう簡単には証人は見つかりません。
その場の話し合いはなるべく避けましょう。
証拠がなければ実害はないかも知れませんが、言った言わないの感情のもつれは避けたいものです。

初診時

怪我をしたら直ぐに病院に行きましょう。数日の遅れが取り返しのつかないことになることもあります。
自覚症状は全て伝えておかないと事故によるものと言えなくなる可能性があります。伝えたつもりで終わらせず、確実に伝え切ることが重要です。

警察にて

警察官によっては、自分の作ったストーリーに当てはめようとする人がいます。
本当にそうなのか、違うならどう違うのか、しっかりと説明する必要があります。
怪我を負っていれば、躊躇なく人身事故扱いを求めましょう。
症状が長引いた場合に取り返しの付かない後悔をすることがあります。
警察提出用の診断書について、「全治●日」と軽度な書かれ方をするのは気にすることではありません。
ここで誰かと揉めるのは無駄な労力ですし、医師との関係をこじらせると無駄を通り越して有害です。

加害者に厳罰を求めるかどうかは個人の心情の問題です。
どうするのが正解ということはありません。
ただし、過失割合でもめそうな時は、刑事事件の記録が重要な証拠になることもあります。
その意味では、加害者を有罪にする、という意志で作成された実況見分調書が有利な証拠になるかも知れないので、厳罰を求めた方がよいかも知れません。

 物損

物損の示談だけを先行することはよくあることです。不信に思う必要はありません。
ただし、過失割合にはご注意下さい。
ここで決まった過失割合は、最終的な過失割合となることが少なくありません。
過失割合で折り合いがつかないときは、後回しが賢明です。

車両の格落ち

全国各地に自動車の査定協会があります。そこで証明書を発行してもらい証拠としましょう。

経済的全損

物理的に修理可能でも、修理代金が時価を上回れば全損扱いです。
同等車両に買い換えた場合の費用を全て請求しましょう。

病院にて

自らに過失がある場合には健康保険を使用することをお勧めします。
治療費節約の観点は重要です。

たとえ、思う存分通ってください、と保険会社から言われていてもある程度治療費が発生した段階で手のひらを返されます。

タクシー代も治療費と同じく節約をお勧めします。

労災保険が適用できるなら、迷わず労災適用をお勧めします。
ただし、職場との関係がこじれてしまっては大変なので、突っ走らずに慎重に。

画像診断は積極的に受けましょう。

医師との関係は良好なものに保ちましょう。
会話が駆け引きのようになっているなら、転院した方が良いかも知れません。
もし転院するなら早い方が賢明です。

治療打ち切りの話しがでたなら後遺障害診断書を書いてもらいましょう。

休業損害

休業損害は初めのうちはスムーズに支払われますが、そのうちに打ち切られます。
保険会社の基準は被害者が期待するほど甘くはありません。
そして、一旦打ち切られたものを復活させるのはたとえ専門家に依頼しても至難の業です。
ここで無理して頑張るよりも、後回しにした方が多くの場合賢明です。
後回しの方が回収できる確率が高まります。
また、休業損害頼みで生活を維持しなければならない場合もあるかも知れません。
しかし、これは保険会社の言いなりになる前兆です。
早めに収入の道を築いておくことをお勧めします。

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